宮城県における子どものお口の中の調査に関して

お久しぶりです、副院長です。


今回は平成30年度の宮城県児童生徒の健康実態調査から見えてきた、県内における子どものお口の中の健康に関する課題をお話ししようかと思います。

あくまでも宮城県内の話ですのでご注意ください。

虫歯に関して

12歳児一人平均DMF歯数、というのをご存知でしょうか?これは中学1年生における一人あたりの治療していない虫歯(D)、失ってしまった歯(M)、治療済みの歯(F)の合計本数を表しています。

これが大きいと「虫歯にかかった経験が多い」という事になります。

国の政策では平成34年までに28都道府県で1本未満にすることを目標としています(達成済み)。

全国平均:0.74

宮城県:1.05

と、宮城県では全国よりも「虫歯にかかった経験」が多いことを示しています。

また、小学1年生から高校3年生までを見た時、小学生までは1.0を下回りますが、中学生以上では1.0を上回り、高校生ともなると2.83となります。

CO(要観察歯)といって、明らかな虫歯ではないんだけれども、初期の虫歯かもね?といったものも学年とともに増加傾向にあります。

ただし、年々改善はしてきており、たとえ虫歯になっても、しっかりと処置を完了する子どもが増加してきているようです。

顎関節症に関して

これは小学生のうちは少ないのですが、中学、高校になると急激に増えてきます。

歯列・咬合異常者率

これは年度を経るごとに増加の傾向にあります。

歯茎の炎症に関して

まず歯垢(歯の汚れ)の付着状況ですが、基本的に学年が上がるごとに増加していきます。受験期となる中学3年生が高くなりがちです。中学期に比べると、高校生になると減少に転じます。

次に歯茎の炎症(歯肉炎)の保有率です。

やはり歯垢と同様に学年が上がるごとに増加していき、高校生になると減少に転じるようです。

歯垢の付着状況と歯肉炎の保有率ですが、気になるのはどちらも高校3年生において、前年度に比べ増加しているという点です。

結果を考える

  • 全国と比べ宮城県は虫歯が多い

県内で最も少ない仙台市教育委員会管内ですら、12歳児一人平均DMF値が0.77本と、全国平均の値(0.74)に及ばない。

  • 歯垢の付着も歯肉炎の保有率も高い

結論

宮城はまだまだお口の健康に関して改善の余地あり

愛知県や新潟県は全国でもトップクラスにDMF値が少ない地域です。近いところではお隣山形県がとても少ないですね。

こういった虫歯の少ないところでは、学校や地域などでどのような歯科保健教育が行われているのでしょうか。とても気になるところではあります。個人的にはお隣、山形県がモデルとしてとても参考になるような気がしています。

みなさんの学校や地域ではどのような活動が行われているのか、何でもいいので是非ともメッセージをいただければと思います。

これからもリサーチは続けて行こうかと思います。

みんなで宮城の子どものお口と未来を守りましょう!