歯の根本、えぐれていませんか?

こんばんは、副院長です。

寒くなってきましたね。私は寒いのが苦手です。しかも体が大きくて燃費が悪いので、すぐエネルギー切れを起こして体が冷えてしまいます。

寒くなってくると

「冷たい風が歯にしみる」

という訴えで来院される方がたまにいらっしゃいます。そしてお口の中を観察してみると、犬歯の根本などがえぐれていることが多いです。これ「くさび状欠損」と言います。クサビを打ち込んだような形に、歯がえぐれているように見えることからこのように言います。

今回はこのくさび状欠損に関してお話ししていこうかと思います。

くさび状欠損とは

くさび状欠損は、主に犬歯やや小臼歯の表側の根本によく現れる歯の磨耗のことで、基本的に虫歯を原因としないもののことを言います。下の絵で矢印で示した部分のことです。

症状

象牙質の露出が伴うと、⒈冷たいものがしみる、⒉歯ブラシをかけると痛いなど、知覚過敏様の症状が現れます。

虫歯ができた場合とよく似た症状を伴うため、実際に虫歯を疑って受診される患者さんが多いです。

原因

⒈硬い歯ブラシで力を入れすぎてゴシゴシ磨きすぎた

⒉荒い研磨剤の入った歯磨き粉を長年使っている。

⒊歯ぎしりやくいしばりなどの癖がある

などが挙げられます。実際にはこれらが単発でくさび状欠損を起こしているとはのものとは考えづらく、複数が組み合わさって起こっていることが多いような気がします。ほかにも例えば酸蝕症なども一緒に見られることがあり、患者さんの生活習慣に関係しているように思えます。

治療方法

大きくえぐれてしまっている場合:欠損部を補うようレジン充填

歯磨きに由来するくさび状欠損の場合:歯磨き時の力を弱める、ブラシを大きく動かさない、研磨剤の入っていない歯磨き粉を使うなどのブラッシング指導

酸蝕症の併発が疑われる場合:食生活指導を行う

歯ぎしりや食いしばりが疑われる場合:寝るとき用のマウスピースを製作

この他、歯髄症状がひどく、日常生活に支障をきたしている場合には、神経の治療を行うことがあります。

くさび状欠損は虫歯を原因としない歯の実質欠損ですが、欠損が大きくなると欠損部に虫歯が併発したり、歯が折れてしまったりすることがありますので、虫歯じゃないからと言って油断せずに、歯医者さんに相談しましょう。

いかがでしたでしょうか?歯磨きの力や噛み合わせの力を注意されたことのある方は要注意です。歯ブラシは鉛筆の様に持ってみると細かい力の調節がやりやすくなるのでオススメですので、今日から実践してみましょう!

ここ、まで読んでいただきありがとうございました。

今一度注目!歯周病と糖尿病の関係!

こんばんは、副院長です。

日が沈むのは早くなったのに、暑さが和らぎませんね。お盆を過ぎれば涼しくなると思っていたんですが、まだまだ暑さが続きそうです。

今回は、今まで当院のブログでは触れたことがなかった、歯周病と糖尿病の関係についてです。

歯周病と糖尿病は互いに負の連鎖を引き起こしている

まず大前提として、歯周病が糖尿病の直接の原因になったり、逆に糖尿病が歯周病の原因になるということではありません。あくまでも、お互いがリスクを高めあっている、という関係であることに注意してください。

糖尿病が歯周病に与える影響:高血糖状態が続くと、体内のタンパク質と糖が結びつき、AGEという老化物質を作り出します。このAGEは免疫細胞(マクロファージ)と結びつくと、それを活性化させ、破骨細胞という骨を溶かす役割を持った細胞を活性化させる物質を作り出します。そうして活性化された破骨細胞は骨を溶かしていきます。

歯周病が糖尿病に与える影響:歯周病が進行すると、免疫反応として様々な物質が血液中に放出されます。その中でも、TNFーαという物質は、血管内壁のインスリン受容体(インスリンとくっつく部分)と結合してしまいます。本来インスリンが結合して血糖を下げる働きをする部分に、他のものが結合して邪魔してしまいますので、血糖値を下げることができなくなります。これを「インスリン抵抗性」と言います。

また、インスリン抵抗性が高まった状態が続くと、なかなか下がらない血糖値を必死で下げ続けようとするため、やがてインスリンを分泌する膵臓が疲弊してしまいます。

このようにお互いに作用するため、糖尿病と歯周病の負のスパイラルに陥ってしまいます。

歯周病の治療は糖尿病の改善に有効なのか?

有効と言っていいと思います。

糖尿病の検査項目の一つにHbA1c(ヘモグロビン・エー・ワン・シー)というものがあります。この数値が高いほど糖尿病の詳しい検査が必要となります。歯周病治療を行うことで、この数値が統計的に有意に0.36%減少することが言われています。また他の複数の論文でも、歯周病治療が血糖コントロールの改善に効果があることを支持しています。

血糖コントロールで歯周病が改善するか?

血糖がコントロールされていない場合、歯周病が重症化するリスクは高まるため、歯周病治療を行う上で血糖コントロールは非常に重要と考えられます。ですが、歯周病の原因はあくまでも細菌なので、血糖コントロールだけで歯周病の改善を図るのは無理です。血糖コントロールはあくまでも歯周病治療の効果をより確実にするためと考えた方が良いかと思います。

歯磨きも血糖コントロールも生活習慣です。両方しっかりと行ってお互いのリスクをなるべく減らしましょう、ということです。

歯周病と糖尿病という2つの生活習慣病がどのように関係しあっているか、というところに焦点を当ててみましたが、いかがでしたでしょうか?

このように、歯周病と全身疾患との関係を研究する分野を歯周医学と言います。糖尿病のほかにも様々な疾患との関連が言われていますので、また紹介出来ればと思います。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

妊婦さんとお口の健康のお話

こんばんは、副院長です。

今年は冷夏という噂を聞いていたのですが、しっかりじっとり暑くなってくれました。今年の夏は新型コロナウィルスの影響もあり、マスクを着用している方も多いかとは思いますが、くれぐれも熱中症には気をつけてください。

さて、世の中のお母様方は母子手帳に妊娠中と産後の歯の状態を記すためのページがあることをご存知かと思います。欄外には小さく歯周病と早産との関連を示す一文が見られるかもしれません。

今回はその歯周病と早産・低体重児出産の関連についてのお話をしようかと思います。

早産・低体重児出産の定義

早産は妊娠37週未満での出産を、低体重児出産は新生児の体重が2,500g未満での出産のことを言います。よく勘違いされがちですが、低体重児=未熟児ではありません。

歯周病との関連

妊娠の末期になるとプロスタグランジン(PG)、TNF ーα、ILー1βのような炎症によって増加する炎症性物質、オキシトシンなどのホルモン、タンパク分解酵素の生産が上昇することで子宮収縮が促されるなどして分娩・出産となります。

一方で歯周病はというと、口腔内という限定された空間で起こる炎症性の疾患です。この局所での炎症反応が血液中の炎症性物質を増加させます。TNFーα、ILー1、ILー6、PGなどがそれです。

どうでしょうか。分娩・出産に関係する物質と歯周病によって増加する物質というのはかなり一致していることが分かります。

つまり、歯周病によって血液中に上記の物質が増えることで、出産に影響を及ぼす可能性があるわけです。

実際、数々の症例対照研究やコホート研究で、歯周病と早産・低体重児出産には関係があるとされており、歯周病学会においても、歯周病が早産・低体重児出産のリスクを増加させる可能性を述べています。

歯周治療は早産・低体重児出産のリスクを減らせるか

じゃあ妊婦さんは積極的に歯周病治療すれば、早産・低体重児出産予防できるんですね!とは、残念ながらいかないようです。

もちろん、歯茎の健康回復を目的に歯周治療を行う場合には、当然ながら有効です。しかし、数ある論文を見てみると、妊娠中に歯周治療を行っても、早産・低体重児出産のリスクは減らないよ、と結論づけているものの方が多いのです。そのため、妊娠が発覚してから、早産・低体重児出産の予防のために歯周治療を受けるというのは推奨しない、というように歯周病学会でも述べられています。

副院長の個人的な考え

わたしが考えるに、妊娠前に歯周治療を終了させておくのが効果的な予防方法なのではないかと思います。そんなん言われなくても分かってるし、それが出来たら苦労せんワイと突っ込まれそうな気がしますが。

一応このように考える根拠としては、羊水中や臍帯から歯周病原菌が検出されたと報告している論文があることや、早産のあった妊婦さんは羊水中の炎症性物質(ILー6やPG)の濃度が高かったと報告しているものもあります。

つまり、すでに細菌が胎盤や臍帯、羊水中に定着してしまっている可能性を考えた場合、定着後にどれだけお口の環境を整えてもあまり効果がないのかもしれないと考えたからです。あくまでも個人的なわたしの考えです。

最終的に、やはり常日頃からお口の環境を整えておくのがベストだなあ、というところに落ち着いてしまうのでした。結論がこんな感じになってしまって申し訳ないです。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

塩竈市の歯周病治療は皆川歯科医院まで!

知覚過敏てそもそも何?

こんばんは、副院長です。

テレビのCMで知覚過敏に効く歯磨き粉だよ〜(雑)というのを聞いたことあるのではないでしょうか。知覚過敏てなんか歯が、なんかしみるやつ、という認識の方も多いのではないでしょうか?

その知覚過敏の裏には、意外なお口の中の変化が隠れているかもしれません。

知覚過敏とは

外的な刺激により起こる、炎症を原因としない一過性の痛みのことを言います。外的な刺激とは、例えば冷たいものが触れたり、歯ブラシの毛先が触れたりです。

ポイントは「炎症を原因としない」というところです。つまり歯の中の神経には変化がないにもかかわらず、痛みが起こっているということです。

知覚過敏の原因とは

ここで歯の断面図を見てみましょう

実はこの1層目のエナメル質は削っても痛みを感じない部分で、2層目の象牙質に触れた時に痛みを感じ始めると言われています。

象牙質の部分をよく見てみると、縞模様があるのが分かるでしょうか。これは「象牙細管」という構造で、これを通じて3層目の「歯髄」という痛みを感じる神経部分とつながっています。

通常、象牙質はエナメル質に覆われているため痛みを感じることはありません(あまり刺激が強すぎると痛みを感じることがあります)。が、なんらかの理由により象牙質が露出し、そこに触れてしまうと痛みを感じてしまう。これが知覚過敏の正体です。

象牙質が露出する原因

⒈歯茎が下がる(歯肉の退縮)

どんなに完璧な歯磨きが出来ている人でも、年齢と共に少しづつ歯茎は下がります。上の断面図を見てみると、歯茎の下はすぐ象牙質です(厳密には少し違いますが)。そのため歯茎が下がると症状が出ます。

2.歯の欠けやすり減り

上の図のように、歯が折れたり、歯の根本が削れたりなどで象牙質が露出すると症状が現れます。歯ぎしりや食いしばりで歯が大きくすり減っても同じようなことが起こります。

3.酸蝕症

以前ブログにも挙げましたが、酸性の飲食物を長時間頻繁に摂取する人に現れやすい酸蝕症。これも歯が溶けてしまうため、酸蝕症を原因とした知覚過敏が起こりやすいです。

4.歯科処置によるもの

例えば削ったり、下がった歯茎に付着していた歯石を除去した時などです。多くの場合は時間の経過と共に落ち着いていきますが、歯の神経を取らないといけなくなることもあります。

また、ホワイトニング剤により知覚過敏症状が引き起こされることがあります。

治療方法

⒈再石灰化の促進

歯の再石灰化を促進させることで、刺激伝達の経路となる象牙細管を狭くしたりすることができます。

2.神経の興奮を抑える

神経には、カリウムイオンが多く存在している環境下では、興奮しにくくなるという性質があります。硝酸カリウムという成分を含んだ歯磨き粉は、この神経の性質を利用したものです。

3.象牙細管を物理的に封鎖する

刺激の伝達経路となる象牙細管を、さまざまな材料を用いて封鎖し、刺激を遮断するという方法です。歯医者さんで薬を塗るのが一般的ですが、一部の歯磨き粉にも、象牙細管内に歯と似た結晶成分の形成を促進させる成分を含んでいるものがあります。

4.象牙質の露出した部分をカバーする

薄い皮膜で覆ったり、露出部分の大きさによっては充填物でカバーしたりします。

5.神経をとる

改善が見られず、普段の生活に大きく支障をきたす場合には、神経そのものをとってしまうこともあります。あくまでもこれは最終手段です。

知覚過敏にならないようにするには

原因のところで述べたように、加齢で歯茎が下がってしまうこともあるので、確実な予防方法は残念ながらありません。

しかし、歯や歯茎に汚れを残さないよう丁寧に歯磨きを行うことや、偏った食生活にならないよう努めることなど、歯に良くない生活習慣を改善することがそのまま知覚過敏の予防になりますので、皆さん歯を大事にしてください。

ここまで読んでいただきありがとうございました。副院長でした。

現代日本における最強かもしれない虫歯予防法!

こんばんは、副院長です。

今日はみんなが知りたがる(かもしれない)今の日本における最強の虫歯予防法を伝授したいと思います。

虫歯予防にはフッ素を使え!

はいこれ結論です。みなさんフッ素を使いましょう。

どうやって使いましょうね?答えはこちら

フッ化物配合歯磨剤(歯磨き粉)とフッ化物洗口剤(うがい薬)の併用です。

そもそもフッ素とは

フッ素とはそもそも自然界そこら中にある栄養素です。土壌中や食品などに当たり前のように含まれている、実はとても身近なものなんです。

ではフッ素はどのようにして作用するのでしょうか。

  1. 再石灰化の促進
  2. 歯の強化
  3. 虫歯菌の働きを抑制

この3つの作用で虫歯予防に役立てようというわけです。

フッ素の安全性は?

フッ素って危ないんじゃない?体に毒なのでは?と思う方もいるかもしれません。

確かに急性のフッ素中毒や、歯が白濁するような慢性中毒(斑状歯)などありますが、これはありえない量のフッ素を一度に摂取したり(例えば225ppmのフッ化物洗口液を180ml一気飲みする)、フッ素濃度の高い水を長い間飲み続けるなどしない限り起こりません(日本の水道水は0.8ppm以下の濃度)。

また歯磨剤も洗口液も飲み込まずに吐き出すといった局所使用のため、問題ありません。

濃度と量の関係

じゃあ今日からフッ化物配合歯磨剤と洗口剤の併用をしてみようという方、推奨されている年齢とそれに対応した濃度、量があるのでそこはしっかりと守りましょう。こういうものは正しく使ってこそです。

歯磨剤のフッ化物濃度と年齢

  • 歯の生え始め〜2歳:500ppmを、切った爪の先程度の量
  • 3〜5歳:500ppmを、5㎜程度の量
  • 6〜14歳:1000ppmを、1㎝程度の量
  • 15歳以上:1000〜1500ppmを、2㎝程度の量

このように年齢によって濃度と量を変えて使用してください。特に1000ppmは6歳未満に、1500ppmのフッ化物濃度の歯磨剤は15歳未満には使用しないようにしましょう。

ブラッシング後は少量の水で1度だけうがいをしましょう。

フッ化物洗口

フッ化物洗口とは、フッ化物配合の薬液でうがいをすることを言います。薬液を含んでブクブクと30秒〜1分ほどうがいをすれば良いだけなので、とても簡単ですね!

注意しなければならないのが、ブクブクうがいが出来ない人には使用できないということです。ですので、基本的にはうがいが上手にできるようになる4歳から始め、永久歯が生え揃う14歳まで行う、というのが一般的となっています。

フッ化物洗口は長期間の継続が鍵となっており、6年間の継続使用で約42%虫歯が減少したという研究結果もあります。

というわけで、皆さん

フッ化物配合歯磨剤とフッ化物洗口の併用

是非ともやってみませんか?

この方法のいいところは簡単で、しかも子供だけでなく、

大人の虫歯予防にも効果的

というところです。

新しい習慣、始めてみませんか?

ここまで読んでいただきありがとうございました。虫歯予防についてもっと詳しく聞きたい!という方は是非皆川歯科医院までご連絡ください。副院長でした。

アマルガムについて

こんばんは、副院長です。

みなさん「アマルガム」ってご存知ですか?もしかするとみなさんのお口の中にもあるかもしれません。特に奥歯にくすんだ銀色っぽいような黒っぽいような詰め物がありませんか?

アマルガムってどんなもの?

アマルガム充填はとても歴史のある治療法で、150年程歯科医師の間で重宝されてきました。詰めるととても硬くなり、お口の中という厳しい環境にも耐えうる頑丈な金属修復物となります。ですが最近ではご高齢の方の口腔内以外では見かけなくなりました。何故でしょうか?

アマルガムの欠点

  • 金属の色で見た目が悪い
  • 接着しない
  • 水銀を使用する

今現在での歯科治療の主流は見た目が良くて歯に接着するものですから、真逆の位置にあるアマルガムが減少するのは当然です。そして何より気になるのが水銀を使用する、という点かと思います。

アマルガムに使用される水銀

水銀には大きく分けて有機水銀と無機水銀があります。アマルガムに使用される水銀は無機水銀で、これは塗料に使われたりしているものです。一方水俣病で問題となったのは有機水銀の方です。

アマルガムの安全性

調べるといろいろ出てきます。中にはオカルトじみたものまで出てきます。一応歯科保存学会では、口腔内のアマルガムは安定しているので、アマルガム周囲に新たな虫歯があるとか、金属の色が気にいらないなどの理由がなければ積極的な除去は勧めていないのが現状です。

ただ、アマルガムを削る際には水銀が蒸発するため、それを吸い込まないよう注意しなければならない、というのはどこを見ても書いてあるのでそこは注意が必要なようです。

また上記の理由から、妊婦さんや授乳中の方のアマルガム除去もお勧めはしていないようです。

当院での見解と対応

以上の理由から、皆川歯科医院医院でのアマルガムに対する対応は

「除去する際には必要な防護を行い、なるべく注意してアマルガムを削る量を最小限にして一塊で取り出すようにする」

というところでしょうか。

現在日本ではアマルガムが保険適用から外れました。コンポジットレジンなどの材料がとても使いやすくなってきているので、わざわざ自費でアマルガムを使用することもないです。

世界的にも、環境への配慮からアマルガムの使用量はどんどん減ってきているようですから、わざわざ世界と逆行するようなことはしなくても良いですよね。

アマルガムの使用に関係なく、たくさんの人の健康が守られる世界になると良いですね。

それでは、副院長でした。

宮城県における子どものお口の中の調査に関して

お久しぶりです、副院長です。


今回は平成30年度の宮城県児童生徒の健康実態調査から見えてきた、県内における子どものお口の中の健康に関する課題をお話ししようかと思います。

あくまでも宮城県内の話ですのでご注意ください。

虫歯に関して

12歳児一人平均DMF歯数、というのをご存知でしょうか?これは中学1年生における一人あたりの治療していない虫歯(D)、失ってしまった歯(M)、治療済みの歯(F)の合計本数を表しています。

これが大きいと「虫歯にかかった経験が多い」という事になります。

国の政策では平成34年までに28都道府県で1本未満にすることを目標としています(達成済み)。

全国平均:0.74

宮城県:1.05

と、宮城県では全国よりも「虫歯にかかった経験」が多いことを示しています。

また、小学1年生から高校3年生までを見た時、小学生までは1.0を下回りますが、中学生以上では1.0を上回り、高校生ともなると2.83となります。

CO(要観察歯)といって、明らかな虫歯ではないんだけれども、初期の虫歯かもね?といったものも学年とともに増加傾向にあります。

ただし、年々改善はしてきており、たとえ虫歯になっても、しっかりと処置を完了する子どもが増加してきているようです。

顎関節症に関して

これは小学生のうちは少ないのですが、中学、高校になると急激に増えてきます。

歯列・咬合異常者率

これは年度を経るごとに増加の傾向にあります。

歯茎の炎症に関して

まず歯垢(歯の汚れ)の付着状況ですが、基本的に学年が上がるごとに増加していきます。受験期となる中学3年生が高くなりがちです。中学期に比べると、高校生になると減少に転じます。

次に歯茎の炎症(歯肉炎)の保有率です。

やはり歯垢と同様に学年が上がるごとに増加していき、高校生になると減少に転じるようです。

歯垢の付着状況と歯肉炎の保有率ですが、気になるのはどちらも高校3年生において、前年度に比べ増加しているという点です。

結果を考える

  • 全国と比べ宮城県は虫歯が多い

県内で最も少ない仙台市教育委員会管内ですら、12歳児一人平均DMF値が0.77本と、全国平均の値(0.74)に及ばない。

  • 歯垢の付着も歯肉炎の保有率も高い

結論

宮城はまだまだお口の健康に関して改善の余地あり

愛知県や新潟県は全国でもトップクラスにDMF値が少ない地域です。近いところではお隣山形県がとても少ないですね。

こういった虫歯の少ないところでは、学校や地域などでどのような歯科保健教育が行われているのでしょうか。とても気になるところではあります。個人的にはお隣、山形県がモデルとしてとても参考になるような気がしています。

みなさんの学校や地域ではどのような活動が行われているのか、何でもいいので是非ともメッセージをいただければと思います。

これからもリサーチは続けて行こうかと思います。

みんなで宮城の子どものお口と未来を守りましょう!