こんばんは、副院長です。
テレビのCMで知覚過敏に効く歯磨き粉だよ〜(雑)というのを聞いたことあるのではないでしょうか。知覚過敏てなんか歯が、なんかしみるやつ、という認識の方も多いのではないでしょうか?
その知覚過敏の裏には、意外なお口の中の変化が隠れているかもしれません。
知覚過敏とは
外的な刺激により起こる、炎症を原因としない一過性の痛みのことを言います。外的な刺激とは、例えば冷たいものが触れたり、歯ブラシの毛先が触れたりです。
ポイントは「炎症を原因としない」というところです。つまり歯の中の神経には変化がないにもかかわらず、痛みが起こっているということです。
知覚過敏の原因とは
ここで歯の断面図を見てみましょう
実はこの1層目のエナメル質は削っても痛みを感じない部分で、2層目の象牙質に触れた時に痛みを感じ始めると言われています。
象牙質の部分をよく見てみると、縞模様があるのが分かるでしょうか。これは「象牙細管」という構造で、これを通じて3層目の「歯髄」という痛みを感じる神経部分とつながっています。
通常、象牙質はエナメル質に覆われているため痛みを感じることはありません(あまり刺激が強すぎると痛みを感じることがあります)。が、なんらかの理由により象牙質が露出し、そこに触れてしまうと痛みを感じてしまう。これが知覚過敏の正体です。
象牙質が露出する原因
⒈歯茎が下がる(歯肉の退縮)
どんなに完璧な歯磨きが出来ている人でも、年齢と共に少しづつ歯茎は下がります。上の断面図を見てみると、歯茎の下はすぐ象牙質です(厳密には少し違いますが)。そのため歯茎が下がると症状が出ます。
2.歯の欠けやすり減り
上の図のように、歯が折れたり、歯の根本が削れたりなどで象牙質が露出すると症状が現れます。歯ぎしりや食いしばりで歯が大きくすり減っても同じようなことが起こります。
3.酸蝕症
以前ブログにも挙げましたが、酸性の飲食物を長時間頻繁に摂取する人に現れやすい酸蝕症。これも歯が溶けてしまうため、酸蝕症を原因とした知覚過敏が起こりやすいです。
4.歯科処置によるもの
例えば削ったり、下がった歯茎に付着していた歯石を除去した時などです。多くの場合は時間の経過と共に落ち着いていきますが、歯の神経を取らないといけなくなることもあります。
また、ホワイトニング剤により知覚過敏症状が引き起こされることがあります。
治療方法
⒈再石灰化の促進
歯の再石灰化を促進させることで、刺激伝達の経路となる象牙細管を狭くしたりすることができます。
2.神経の興奮を抑える
神経には、カリウムイオンが多く存在している環境下では、興奮しにくくなるという性質があります。硝酸カリウムという成分を含んだ歯磨き粉は、この神経の性質を利用したものです。
3.象牙細管を物理的に封鎖する
刺激の伝達経路となる象牙細管を、さまざまな材料を用いて封鎖し、刺激を遮断するという方法です。歯医者さんで薬を塗るのが一般的ですが、一部の歯磨き粉にも、象牙細管内に歯と似た結晶成分の形成を促進させる成分を含んでいるものがあります。
4.象牙質の露出した部分をカバーする
薄い皮膜で覆ったり、露出部分の大きさによっては充填物でカバーしたりします。
5.神経をとる
改善が見られず、普段の生活に大きく支障をきたす場合には、神経そのものをとってしまうこともあります。あくまでもこれは最終手段です。
知覚過敏にならないようにするには
原因のところで述べたように、加齢で歯茎が下がってしまうこともあるので、確実な予防方法は残念ながらありません。
しかし、歯や歯茎に汚れを残さないよう丁寧に歯磨きを行うことや、偏った食生活にならないよう努めることなど、歯に良くない生活習慣を改善することがそのまま知覚過敏の予防になりますので、皆さん歯を大事にしてください。
ここまで読んでいただきありがとうございました。副院長でした。